【 いま流行っている病気は? 】
インフルエンザは、全国的にも福岡県でも2月に入ってもすごい勢いで流行し、第7週にはついにピークに達しましたが、その後少しずつ減少しています(前号から3399→6324→8449→9562→8654→6685)。
A型が80~90%、残りがB型です。どちらも薬が良く効き、翌日には熱が下がって元気になっていますが、中には抗ウイルス剤で3日経っても熱が下がらず、耐性ウイルスだったと言わざるを得ない症例が当院で3例(タミフル2例・イナビル1例)ありました。幸いに脳炎・脳症の合併はなく結局は自然の経過で良くなりました。
学級閉鎖が相次いでいますが、流行を阻止する効果があるのかは疑問です。伝染する場は学校だけでなく大きな商業施設もあちこちにありますし、熱が下がって2日家にいて3日目に学校に復帰しても、まだウイルスが消滅していない人も多いので、さらに伝染が広がっている可能性もあります。なので、今回文科省・厚生省が出席停止の期間を変更することになりました
福岡県医師会による感染症発生状況 (第8週H24.2.20~2.26) |
病名 |
報告数 |
前週比 |
1定点当たりの患者数 |
福岡県 |
全国 |
インフルエンザ |
6685 |
77% |
33.76 |
35.44 |
感染性胃腸炎 |
1331 |
99% |
11.09 |
7.41 |
A群溶連菌咽頭炎 |
380 |
74% |
3.17 |
2.36 |
水痘 |
252 |
96% |
2.10 |
1.51 |
RSウイルス感染症 |
111 |
77% |
0.93 |
0.42 |
流行性耳下腺炎 |
102 |
94% |
0.85 |
0.51 |
【 インフルエンザの出席停止期間が変更になります! 】
↓
変更後のインフルエンザの出席停止期間 |
小学校以上 |
:「発症した後5日&解熱した後2日を経過するまで」 |
幼稚・保育園児 |
:「発症した後5日&解熱した後3日を経過するまで」 |
発症後5日を経過するとウイルスがほとんど検出されなくなるので感染力が無くなるという研究報告と、低年齢児ほどウイルス排泄が長いという医学的知見により、インフルエンザの出席停止期間が従来の「解熱して後2日」から、上記の表のように変更されることになりました。
インフルエンザの流行を短期間で終結させるためには、必要な措置でしょう。
【 おたふくかぜの出席停止期間も変更になります! 】
現在おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も流行していますが、ワクチンをしている方はさすがに軽症に済んでいます。
おたふくかぜの出席停止期間も議論されました。これまでは「耳下腺の張れがなくなるまで」でしたが、「耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れが出現したあと5日経過し、全身状態が良くなるまで」に変更になります。つまり元気なら発症して5日過ぎれば登校できるということです。
これまでは腫れている間ウイルスが排泄されると考えられてきたのですが、最近の報告では5日程度で感染力が弱まること、耳下腺は腫れずに顎下腺・舌下腺の腫れが2週間にも及ぶ症例も多々あることなどが報告され、実際の学校生活に沿って変更されることになりました。
Q.
ワクチンをしていてもかかることがあります。それでもワクチンを打った方がいいのでしょうか?
A.
おたふくかぜは単に耳下腺や顎下腺の病気ではなく全身の感染症で、合併症も多々あり、脳炎・髄膜炎・膵炎、中でも聴神経炎による難聴はほとんど治らない一生の問題になります。その為にもワクチンはとても大事で、私は院内にポスターも張ってお勧めしています。
欧米ではMMR(おたふくかぜ・麻疹・風疹)という形で2回の定期接種(無料)です。日本ではMR(麻疹・風疹)が1回の接種では免疫の持続が不十分で2回接種になったのと同じように、おたふくかぜも理想は2回ですが、有料なのが問題です。でも1回だけ接種してその後罹ったとしても軽く済みます。、脳炎は少なく、難聴の報告もありませんし、軽くても終生免疫は付きます。「ちょっと痛くて5日休んだけど2回目の強力なワクチンを無料で出来た」と思えばある意味ラッキーではないでしょうか。という訳でともかく1回!お勧めします、MR(麻疹・風疹)と同時接種も可能です。